静かにほっとするとき、私はまた、あの体験に思いを馳せます。
彼との体験です。
あの時、ベッドの上の彼は私の左手にゆっくりと手を伸ばし、それを両手でいとおしむように抱え込みました。

ナァ〜ンて書くと、「いやぁ、とうとう安藤さんもヘンな昔の思い出話を書くようになったのかネェ・・」
と思われるかもしれません。

まあまあ、早合点なきよう、誤解なきよう、是非この続きを読んでいただくことにしましょう。

 

                  

場所は、ヒーリングルーム、これに先立つこと10分ほど前、私はヒーリングベッドの横に立って、いつもの

ようにヒーリングを始めていました。

しばらくすると、横たわっているクライアントさんの上にかざした私の両手を介して、彼のエネルギー

フィールドにたくさんのエネルギーが降り注がれるのを感じ始めました。

 

今回のクライアントさんは30代の男性。素晴らしい能力の持ち主で、ヒーリングセッションの度に、

一つ一つの過去の生で身に起こったことを身体で再現できる人なのです。無意識のうちに身体が動き、その人生で

影響を残した出来事が身体を通して表現されてくる。身体能力がすぐれており、意識がそれに追随するように

その出来事、その意味などが見えてくる…のです。

 

エネルギーがオーラに干渉を始めると、手や足が少しずつ動き始めます。意識は覚醒しておりますから、初めの

うちはご本人も身体が動いているのを認識はしているものの、どういう行動なのか、意味もわからず、追随する

だけ、動くままにしながらご自身で観察するのみです。しかし、そうやって動きを続けていくうちに、何が

起きているのか、どういうことを追体験しているのかが分かり、背景や意味も見えてくるというわけです。

 

IT的にはこうも説明できるかもしれません。

オーラの中には、これまで生きて来た過去世で体験したいろいろなデータが蓄積されています。波動や、ある種の

電磁場にデータがあり、ヒーラーの手を介して自然の大気に遍満するエネルギーがその場に干渉して、なんらかの

変化を起こす。すると、過去世データのファイルが開けられ、その人生で起こったこと、体験したことがプログラ

ムとして動き始めます。そのプログラム通りに、いわば3次元のディスプレイ、ロボットである「身体」が動き始

めるというわけでしょう。 普通は身体よりも、五感の中で表現されやすいもの、たとえば、感情とか、視覚とか

が動き始めるのですが、個人によって、身体全体で表現する場合があるのでしょう。

 

これに加えてもう一つ考えられるのは、ヒーラー固有の波動(ヒーラー自身のオーラの中のデータ)が検索のごとく

作用して、クライアントさんの中のデータの中からヒーラーと共有するものが作動、プログラムが動き始めると

いうことがあるかもしれません。

 

思うに、これより先に、クライアントさん自身が、意識上にはないものの、共鳴するエネルギーに引かれるように、

ヒーラーを選んで訪れている可能性もあります。

そういう可能性を検証するのに、これからご紹介する事例はとても興味深いものだと思います。

 

さて、そうは言うものの、このヒーリングルームに姿を見せたこの人はクライアントさんで、私はヒーラー

、共通の過去に生きて出会っていた、なんてあらかじめ知っているわけではありません。

それに、言うまでもなく、セッション中は一切個人的なものは介入しませんから、 ヒーラーは飽くまでも

中立、無色透明、 エネルギーを通す道具でしかありません。

 

ヒーリングをしているときに、基本的に手は身体に触れることはありません。ベッドサイドヒーリングで、高め

のベッドに横になって行うヒーリング(これがとても気持が良いんですね…大抵の人が5分も経たずに寝てしま

われます)の場合は、予め、足と肩、頭に手を触れて良いか、許可をいただいてからにします。

エネルギーは手が身体に接触しようとしまいと、同じように流れます。

 

さて、このクライアントさん、彼のこのケースだけは例外、彼が癒されるためには、セラピストの私ではなく、

個人としての私を巻き込まなければならなかったのです。 彼と私は過去の時代に何度か会っていたのです。

クライアントさんが無意識に共鳴するエネルギーを持つヒーラーを選んで来られているとすれば、当然、こういう

こともありえるのでしょう。

 

分かったことは、彼が私のところに現れた理由は、なんと、何百年の時を越えて、永らえていた傷のため・・・

その傷は過去世に私たちが生きていたとき、彼と私が恋仲であり、しかもそれが双方に深い傷を残し、その傷が

私たちの心の深いところで延々と癒されずにいたのです。その時は性が逆で、私が男性、彼が女性のようでした。

 

仰天したのは癒すべき傷のことで、セッション中に起きる大抵のことでは驚かない私も、これにはとても驚いて

しまいました。

 

彼は冒頭で書いたように、ヒーリングベッドの上で起き上がると、身体の上、40センチほどにあったヒーラーの

手を両手でゆっくり優しく取りました。このとき、私は飽くまでヒーラーですから、冷静でいますし、

彼が思い出している人生の場面で、誰か一緒にいる人の手を取っているのだと思っていました。私はたまたま

その場に居合わせて手だけを貸している、つまり、誰かの手の代理をしていると思っていました。

でも、彼が私の左手を両手で確かめるように見つめたり、両手で挟んだりしているときに、何故か左手全体に

重さと痛さを感じていました。気持ちの上では必死にこらえつつ、手が不自然に挙げられたままのせいだと

、とにかく彼の追体験を邪魔しないよう、自然の流れに添えるようにとそればかりを考えていました。

 

ところが、これから面白いことが起こりました 。彼の口から思いがけない言葉が出たのです。

「あっ、わかりました。私は先生の小指を切ってしまいました。私の小指も切られています・・・そして、私は

その指を食べてしまいます」

「エッ!?〜」

私は思わず目を丸くしました。

よくわからないまま、もう一度、動いている彼の両手と口の動きを見つめました。

そして、先生って? 私のこと? 相手はこの私?・・・ホントに?と疑問に思っていました。


でも、なんとロマンチック。

なんて、ほんとだったらなんて嬉しいことでしょう、昔の愛する人が会いに来てくれた・・・それも昔、昔、昔

の彼女が彼である私に会いに来てくれた・・・のです。

何百年もの時を超えて、会いに来てくれた・・・。 そう思いながら、彼のまだ続いている私の手をいとおしむ

動きを見つめながら、この過去の彼のお相手が私だったらうれしいなと思い始めていました。

感激が胸にじわじわ広がっていきました。この人は時空を超えて会いに来てくれたのだ!

やっぱり、愛は永遠なのだ、と。

でも、そこで、耳に届いた言葉と共に思い出しました。この彼の手の動きは私の小指を切っている動きだ、と。

エ〜〜〜・・・小指を切り落とす?!・・・食べちゃうの〜?!・・・・うわ〜〜〜〜!!と。

 

「そうです、私は先生の小指を切って、食べてしまいました」

「アッ、僕の小指も切られて、先生が食べてしまいます・・・・」


私もたべちゃう〜?指を?

なんともまあ!恐ろしいばかりの愛の表現ではありませんか・・・。

契りの印、固い約束の印として、お互いの小指を切り落とし、口に入れる・・・、すごい行動。

私はあっけにとられて、彼の動きを斜め肩越しから眺めていました。

(実際に歴史の中にあった風習なのか、この二人に限ったことなのかはわかりませんが、催眠療法の過去

世退行をすればきっと詳細にわかるはずです。)


なるほど、小指を切り落とせば、嘘はつけない。他人目にもすぐ結婚しているか、婚約しているかが物理的なもの

として固定し、どこへ行こうといくつになろうと客観的に見えるものになる。お歯黒みたいなものかもしれません。

独身だ、なんて嘘は通らないし、恋人がいない振りもできないってわけです。なるほど、「一生、あなた一人を

愛し続けます」という証しにはベストかもしれません。

 

ためらいなく小指を切り落としたこの二人。

それほどに深い愛で結ばれて・・・うわ〜怖いほどロマンチック・・・と、

ここまでは良かったのですが・・・・。



世の中、ことはそう単純ではないのが習いなのでしょうか。

無常なるかな、人の心! 愛は永遠ではなかったか?

この人、この私を捨ててどっかへ・・・消えて・・・行っちゃった・・・のあります。

一瞬、頭をかすめたのが、えっ?何?小指なしで?

そんなに約束したのに?

うそでしょう!

(次回に続く・・・おたのしみに!)